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相模湾にキハダの回遊は有るのに、カツオが見えない。
 
神奈川水産技術センターの報告では、
「相模湾にカツオの回遊が見られるのは、
 20℃前後の潮温が急に3〜4℃上昇すると回遊が見られる確率が高い」
としている。

要は黒潮の流入があると回遊して来るということだが、
今年の相模湾の潮温は徐々に潮温上昇している状態だ。

黒潮ルートと紀伊半島南側流のカツオが不漁であり、
この2つの潮流の源流、東南アジア諸国で
巻き網での乱獲が原因の一つになっているのだろう。

8月1日のコマセ解禁で、
南極オキアミの大量投与で回遊して来るだろうと思うが…。
今のところ、カツオは見えない。
鳥山はシイラ、ゴマサバそしてキハダだ。

三陸東沖北上流、小笠原・伊豆諸島北上流ではカツオは不漁ではないのだが、
沿岸に接岸する潮流ではなく、
漁場は遠く、夕方に出港して翌朝に着く。
2、3日カツオを探し漁をして帰港する、かなり遠くにある漁場だ。
その分、船も大きく経費も掛かる。

近海カツオ本釣り漁船は19.9〜50トンが多く、乗り子は10人前後だが、
高知や愛媛、宮崎や鹿児島から
伊豆諸島、房総沖や三陸沖にカツオを追ってくる船は大きく80〜120トンあり、
乗り子も20人前後になる。
経費が掛かる分、漁獲を上げるのに躍起になるのだ。

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一本釣りのカツオは巻き網のカツオに比べ、味がよいように思われているが、
〆と血抜きがしていないのは同じだ。

巻き網は、揚げ網の時に下の魚は上の魚の重さでつぶされ、
身割れしてしまうこともある。

一本釣りで最後の操業で捕獲したカツオを「新カツオ」と言い、
鮮度がよく、魚価が高く、漁獲量によっては入港を急ぐ。
航海は漁獲量により2〜5日になる。
 
カツオの本釣りは、
「土佐カブラ」という日本古来の擬餌針で、
頭上に跳ね上げた勢いで、ラインを緩め魚を外す「跳ね釣り」という釣り方だ。

鳥山が探査できるレーダーや双眼鏡で鳥山を探す。
そこにカタクチイワシを撒き、船の舷から、海面に強力な水圧で散水して、
小魚が多く居るように感じさせ、船の影を隠して、カツオを浮かして釣る。

鳥山の鳥はオオミズナギドリがほとんどで、
南方の熱帯エリアではカツオドリやグンカンドリの鳥山もある。

カツオの大小1 

美味しいと思うカツオは、小型の漁船の引き縄で1匹、1匹釣るカツオだ。
〆て、血抜きして、直ぐに海水氷のクーラーに入れる。
モチモチした感じの身質で「餅カツオ」と呼ばれる美味しいカツオになる。
 
釣れてから魚を冷やすのが遅くなるとカツオの体温が上昇して、
「石カツオ」と呼ばれるゴリゴリした身質になってしまう。

美味しく食べるなら1匹、1匹〆て、血を抜き、
直ぐに海水氷に入れて魚を冷やすことだ。
 
TV等のカツオの引き縄漁の放映で、
漁師が釣れたカツオの頭を木槌で叩く、
カツオの頭を船の舷に強く当て〆ているのが放映され、
真似をする釣り人も多くいる。
 
漁師は魚の目方が下がるのを嫌がり、血を抜かないのだ。
血を抜いた方が解体する時に身に血が付かず、生臭さも少なくてよい。
まな板が血だらけにならなくて済む。 

ベテランがカツオ、マグロを釣るとアイスピックの様な、
錐の様な物で目と目の間を刺すのを見た事があるだろう。
この道具をスパイクとか、スパイキーと言う。
元々はロープワークに使う道具がカツオ、マグロの〆専門になった道具だ。

魚には、光を感じる第3の目を持つ種類が多くいる。
マグロ類、カツオ類、鮭鱒類、鮎、ニシン、サメ類、コイ類などがそうだ。

目と目の間、人間で言うと眉間の部分に、
他の部分と違い、少し軟らかく、窪みがある部分がある。
これが第3の目と呼ばれる「松果体」の窓で「松果体窓」だ。
ここは外皮と骨が半透明で、光が進入して、
その奥にある松果体(上生体とも呼ばれる)で光の強弱を感じる。
この部分をスパイキーで刺すと、魚の目がグリグリと動き、体をピクピクさせ即死する。
これが「〆る」ことだ。(イラスト参照)

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〆を失敗すると、魚が暴れて血が飛び、あと片付けで大変になる。
美味しく食べるなら1匹、1匹を丁寧に扱うことだ。