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魚と釣り

2014年09月

T&R
このサイズを捕獲し、手でいじらずに生け簀に入れ、畜養業者に運ぶ、1匹/¥3,000だ。


クロマグロの名の由来は
遊泳している時に上から見ると背中が真っ黒く見えるので
「真黒」がマグロになった。

古い言葉ではシビ(鮪)と言って、マグロ類の総称であったが、
「死日」に通じるので忌み嫌い、マグロになった。
現在は、シビ(鮪)と言う呼び名は
地方によってマグロの種類が違う呼び名になり、
市場関係者が使う言葉になった。

 東北、三陸ではクロマグロの成魚
 関西、高知ではキハダ
 壱岐ではビンナガ
 沖縄では島によって若干、異なるがメバチを言う。

太平洋側の有名な漁場、世界3大漁場の一つに入る、
三陸沖の暖水塊の漁業で栄えた気仙沼、唐桑半島に
「鮪立(しびたち)」と言う所がある。
戦後は遠洋漁業や定置網、巻き網のマグロ漁で儲けた船主、
網元の鮪御殿が鮪立湾の丘の斜面に何件も建っていた。
この御殿を唐桑御殿とか鮪立御殿と言ったが、
震災で崩壊したり、津波で流されてしまい、とても残念である。

三陸沖の漁場は5〜11月がシーズンで
サケが南下してサケ網に入る頃に、マグロの南下が始まる。
表層潮温が16〜18℃になると沖にサンマの南下回遊があり、
それを追ってマグロやマカジキの南下が始まり、13℃以下になるといなくなる。

津軽海峡や日本海のマグロも西風が強くなる頃から、
ベイトのイカ、イナダ、サバ、サンマと供に南下を始める。
日本海のサンマは有名でないが、沖合に多くいる。
産卵で卵や白子を持っていて、脂の乗りが悪く、
出回らないが丸干し、棒寿司、飯寿司、刺身で美味しいサンマだ。

表層が13℃でも下層の20〜50mに16℃の潮温があるとボイルがあり、
12月の終わりや1月の初め、
雪が降る中でマグロがボイルするのは何か違和感がある。
「マグロは南の魚」とする先入観が抜けないからだろう。

凍える船から大型のマグロが跳ねているのを見ると大興奮だ!
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1〜4月に産卵を意識しない未成熟の3歳以下は、
日本海では対馬海峡周辺で越冬し、
太平洋では未成熟の魚の25%前後が黒潮続流に入り、
アメリカ西海岸まで回遊して、又、日本沿岸に戻る。
居残った魚は伊豆七島周辺や紀伊半島、九州南方海域で越冬する。

産卵を意識した3歳以上の個体は帰巣本能に目覚め、
自分の生まれたエリアに戻り、産卵前の荒喰いを始める。

性成熟は3歳の4年目から始まり、4歳になるとすべての個体が性成熟するが、
すべての個体が産卵するわけではない。5歳から産卵する個体も多い。

潮温が24℃になる頃、5月に南西諸島海域から台湾東方海域で産卵が始まり、
7月には終わる。このエリアに集まる個体は大型で産卵が終わった個体が
ニューギニア島方面に移動する個体もある。
産卵後の養生だろうか?

日本海の山陰沖から秋田沖に掛けて7〜8月、小規模だが産卵が行われている。 
産卵は水面下10m前後で、集団産卵で多回産卵をする。
卵は分離浮性卵で海水温22〜27℃で、約31時間で2.8mmの仔魚が孵化する。
生まれて15日を過ぎる頃から共食いを始める。
共食いをする魚は成長が早い傾向がある。

成長は早い方だが、畜養魚はもっと早い。畜養魚とは天然の幼魚、
生まれて5〜6か月の30〜35cmを捕獲して養殖することだ。

     天然魚   畜養魚  
 1歳  3kg   5〜10kg
 2歳  10kg  30〜50kg
 3歳  20kg  70kg
 4歳  36kg  100kg
 5歳  56kg  150kg
 6歳  78kg  200kg 
 7歳  102kg 250kg
 8歳  128kg 300kg
 9歳  154kg 350kg
 10歳 181kg 400kg
 11歳 208kg 
 12歳 234㎏ 
 13歳 260kg 
 14歳 280㎏
 15歳 304㎏


寿命は30年近いとされているが
鱗や耳石を調べても20歳は確認されるが、
それ以上になると調べるのが難しいようだ

336kgのクロマグロ
 336kgのクロマグロ

38kg)のクロマグロ
485kg、1000ポンドオーバ

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大型がバイトすると並のパワーではない力でラインを出して行く、
カジキやキハダのようなスピードはないが、魚が寄る気配がない。

釣り人も覚悟して臨まないと魚にしてやられる。勝負は急がないことだ。
2〜3時間は覚悟した方がよい。200kgを超えるサイズなら4時間か?

北の漁場は50〜100mより下層が冷たいので横に走るが、
黒潮流域や南西諸島方面では600mも潜って行き、
リフトアップするのに大変で根性がいる。
300kgを釣るのに漁師が、
モーターのラインホラーで6時間かかったこともある。
 
凄い魚だ!!!!

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「クロマグロ 浮上する」

熱中症のニュースが少なくなったが、
海は夏の潮温にならないのか、22℃以上のエリアは沿岸部にはない。

日立丸で真東に向かって、24℃以上の潮目を探しに真沖に出る。
かなり沖に出るが、良い潮が無く、
南下したが潮色が悪い、白っぽい緑色が被った様な青色だ。
ブルーウオーターとは呼べない色だ。

もっと沖に行くと、サヨリトビウオが逃げるが沢山ではない。
透明度も高くベイトが見えない。

北東の風が強くなり、
潮が沖から来る潮、沖の入り潮になってサバが浮いたのか、
鳥山を発見した。
カツオ用のジグの人のプラグやジグに、口を使わない。
サバが口を使わないのは珍しい。
良く解らないが、サバの産卵なのだろうか、産卵期に口を使わない魚は多い。
 
そのうち、デカイボイルが現れ、
その近くにデカプラグ、ガンズ20cmFをキャストする。

ゆっくりとストップ&ゴーでアクションを付けると、バイトして来た。
デカイ、6kgのドラグが止まらない、スピードは無いが、引きの強さがある。

スプールを軽く指で触るが、熱くなっている。
水を掛けたいが、まだボイルしているので誰も気に止めてくれない。
船の大艫なので、楽かなと思ったら、船がナブラを追い前進してしまい、
他の客のラインとクロスして、音も無く切れた。
2回バイトさせたが、2回ともクロスラインだ。
乗合船では多くあるトラブルで、泣くに泣けない。

魚はデカく、PE6号では難しいサイズ、100㎏サイズだ。

貸し切りの船ならいいが、乗合の大きい船では難しい。
5号、6号のラインで充分だと思い込んでいたのが良くない。
常陸沖はこのタックルセットでカジキも獲れると、自惚れていたのかもしれない。
下船しても帰る気になれず、船長に
「明日はまだ居るが、あさっては無理だろう?」
「海は良いも悪いも3日だ」
と語っていたら、船長が宿を取ってくれた。

ラインをPE8号に巻き替えたが、ペントルク9に300mしか巻けない。
トローリングタックルも用意する。

昨日より、鳥が少ないが、時たまボイルがある。
船が近くに入ると沈み移動してしまう。
かなりのプレッシャーだ。

大型は危険回避能力が高いので、対応が難しすぎる。
キャスティングを諦めて、トローリングのタックルをセットして80m、
ラインを出して、スタンバイする。

手伝いのスタッフとしゃべっていたら、
リールのスプールが無音で回転した、ラチェットを入れ、
とっさに「Go!Go!」と叫ぶ、
船は100m、ダッシュして走り、スローにして、前進だ。

カジキの様にジャンプ、跳ねが無い。
出たラインの角度から察して、60mの水深から横に走る。
サメでも無い。
凄いトルクがある動きで、鰓を開けて
「バフバフ、バフ」と首を振る感じの行動が伝わってくる。

マグロだ!

掛かりどころが悪くバラスと、大変な事になる気がする。
二度と日立丸に乗れないかもしれない。
「船を止めるな!微速前進」などと叫んで、フックアップの感じを探った。
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40分程のやり取りでもラインが巻き取れず膠着状態の一進一退だ。
かなりの大きさを感じる。
 
ラインが200mは出ていたが、
少しずつ、少しずつ、巻けては出されの繰り返しで、
100m前後になったがこれからが巻けず、寄らない。

マグロは30mごとに浮上するのを嫌がり、
浅くなると、透明度の関係で光量が多く、
明るくなるので異常を感じ嫌がり抵抗する。

ラインが100m位の時はバラす事が少ないので、
同船の釣り人にリールをいじり、巻きたい人、何人かがトライする。
タックルに慣れてないので怖いが、5〜10分でギブアップする。

力で巻こうとしては駄目だ。
魚の動く方向を読み、円運動するので船に向いた時に巻き、
遠ざかる時は竿のカーブを保ち、ラインを詰めていく、
ポンピングのテクニックを使う。簡単な様で難しいテクだ。

最後の50mが寄らずに時間が過ぎた。
ラインが出たり入ったりし、鰓のバフバフが少なくなり、
寄せに入るので、ギャフや、ロープ、槍の用意をしてもらう。
途中でカメラも釣り人に預け、撮ってもらう。

リーダーが詰まり、魚が見えた時は全員、沈黙し、唖然としてしまった。
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リーダーを手に取り魚を船べりに寄せる。
緊張する時だ、ミスは許されない。
ギャフを打つ。これで勝負は付いた。後は船に入れるだけだ。
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獲れて「ほっ」として、船長の顔を見ると笑みが出て、ニコニコだ。
念願の100kgオーバーのクロマグロ、ホンマグロだ。
「良かった!良かった!」である。
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下船してから乗船者全員に身をさばいて配る。
3ブロックは配給して、釣り人もニコニコだ。
クロカワカジキを釣ると、さばいても「イラナイ」と言うのに、
魚が良いと帰らない、釣り人の性格なのだろうか?
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 釣り宿のおかみさんも大喜びで
「これで船長も肩の荷が下りただろう」と言う。
自分も肩の荷が下りた感じだ。

今度は冥途の土産にキャスティングで、勝負だ。
体が辛そうだが、男のロマンが漂う。


 
※クロカワカジキの引きはいいが、食味は悪いのでリリースする人も多い
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