4月の初めに、
外房で陸上計量52.9kgのヒラマサが釣れたのにはびっくりした。
(情報をもらった時は54kgと聞いたが)
5年前の2009年10月にも49.5kgが釣れてビックリした。
自己記録は23kgで、その倍以上の大きさなのである。

凄い!!
 
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ヒラマサは全世界の暖海に生息し、
過去に体長2m50cm、重さ96.5kgの捕獲報告もあるが、
捕獲の年月は不明で、この大きさは二匹と居ないサイズだ。
 
ブリよりも大型に成長するのは、
ブリの寿命が7年に対しヒラマサは12年で尚且つ、
ブリより成長が早く、大きくなる。
 
ニュージーランドの秘境、北島の先端の沖、北へ55km、
スリーキング諸島の周辺には50~60kgがいるのは確認したが、
東京から2時間の海で
50kg前後の大型ヒラマサが釣れる事は素晴らしい事だ。

これも黒潮のパフォーマンスなのだろう。
黒潮が蛇行気味で、沿岸に接近したり、離岸したりして、
沖に潮目が有り、海鳥が多くいて、
ベイトとなる小魚、春はイワシ、サバ、秋はサンマの回遊がある時がチャンスだ。
 
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先日、気象庁から5年ぶりに、
エルニーニョ現象が夏に発生して秋まで続くとの発表があった。

冷夏、大雨、竜巻等に注意喚起しろとの事だ。
五年ぶりと言うと、49.5kgのヒラマサが釣れた年で、
エルニーニョ現象と黒潮の蛇行、何か関係がある様な気がする。
 
この年のエルニーニョ現象は夏に始まり、次の年の春まで続いた。
エルニーニョ現象が起きると黒潮の潮温が1〜3℃低下する。
日本の沿岸部にカツオが回遊してこないのも、
エルニーニョ現象が起因していて、
黒潮の源流の北赤道流では、すでに何か起きている感じだ。
地球温暖もすすんでいるのだろう。

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外房で釣れた大型ヒラマサはプラグで釣られている。
大型の魚は目の前にある小さいベイトは捕食するが、
その小さいベイトを、探してまでも食べようとしない。
 
渓流でフライで攻めていると
ヤマメ、イワナの定位している岩陰や流れの際の
すぐ側を流れないとバイトしない。

ところが、プラグで攻めると追い掛けて来てバイトする。
「ビッグ・ベイト・ビッグフィッシュ」のセオリー通りである。
 
要するに、目の前に来た物は小さくても捕食するが、
探す運動エネルギーより、
プラスの方向のカロリーの有る物でないと追い食いしてこない。
運動カロリープラスマイナスの計算が本能的にできる感じだ。

大型のヒラマサを狙う時は、マグロを狙う時と同じサイズのプラグで攻める。
ジグの大きさに比べると何倍にもなる容積で、
水中では抵抗が大きく動かしきれないので、表層を責める。

プラグは、表層で小魚の動きを演出して動かし、
下層にいる大型魚にアピールしてバイトさせる。
プレッシャーが無い時は、プラグが着水すると同時にバイトする事も多くある。

魚がモジッている所に、
ボシャン、ボシャンとプラグが入ると、直ぐに魚は沈み、移動する。
何回もトライするとプレッシャーが入り船が近づくと居なくなる。
プラグと魚がファーストコンタクトとすると、
バイトに繋げる、一番の方法だ。

何回もチャンスは無い。

スリーキング諸島の秘境ならゆっくりと攻められるが、
東京から2時間のエリアでは、船も多く激戦区である。

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ジグで攻める時は
水深30〜40m、深くて50mのハードボトムの岩礁帯を攻めて、
根の縁辺部の上層を攻めたり、根から離れているベイトの周辺を攻める。

難しそうに感じるかもしれないが、
餌釣りに比べると簡単に釣れてしまうのが、ジグの釣り、ジギングだ。
ジグを海中に落として、ボトムに着底してから、
上に上にと、しゃくり上げて行くと、
水深の半分位までの層でバイトする事が多くある。
 
初心者が見よう見まねで、しゃくり上げてもバイトして来る。
それは、上手釣り人のジグに寄った魚が、
喰いやすいジグ、初心者のギクシャクした動きのジグにバイトして来るからだ。
 
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その昔、勝浦にカモシのヒラマサ釣りに挑戦しに行き、
「カモシは初めてです。」
と言うと
「今日は、混んでいるので、止めときな!」
と言われてしまい、ヒラメ釣りになって、
それでカモシ釣りはした事がない。

ナイロンラインの時代は、ジグで狙うヒラマサは難しく、
着底したかと思うと、
根掛りでジグのロスト、リーダーラインの結束で1日が終わってしまう。

ジグに付いているフックはトレブルフックで根掛りも多く、
バラシも多かった。
 
そこそこ、釣れるようになると、
その釣りを教えてくれと遊漁船からのオファーがあり、
勝浦や大原で講習会を開いた。

メインラインが細く、
鈎素の部分であるリーダーが太いのが理解されなかったり、
結束方法が難しくて覚えようとしなかったりで
釣り人はさほど増えないでいたが、若い釣り人が興味を持った。

PEラインとリーダーフック(アシストフック)の普及で徐々に普及し、
高級魚のカンパチ、ヒラマサ、ブリ、サワラ、スズキ等の魚食魚が、
簡単に釣れるのが判ると、
餌釣りが衰退してルアー釣りが増加していった。
 
ルアーの釣りが全てをカバーできるのではなく、
魚の性格や性質、古くからある釣りも理解しないと、
先に進めない部分も多くあり、まさに温故知新が必要になる。
 


日本初の遊びの釣りの教科書、
「何羨録(かせんろく・1723年著)」が書かれてから
まだ300年経ていないのが、日本の釣りだ。

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